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菊池寛の小説「形」に見る錯覚資産について

人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている

菊池寛の代表的な短編小説

みなさんは「形」という菊池寛の短編小説をご存知でしょうか?

菊池寛 形

中学や高校の授業で読んだことのある方も多いと思いますが、内容を知らないかたのためにざっと概要を書きます。

戦国時代、摂津半国の主であった松山新介の部下で侍大将の中村新兵衛という侍がいて、「鎗中村」という異名で他国にまで名前が轟いているほど、槍の達人としての地位を確立していました。

そんな中村新兵衛は以下のような特徴的な服装をしていました。

彼の武者姿は戦場において、水ぎわ立ったはなやかさを示していた。火のような猩々緋(しょうじょうひ)の服折を着て、唐冠纓金の兜をかぶった彼の姿は、敵味方の間に、輝くばかりのあざやかさをもっていた。「ああ猩々緋よ唐冠よ」と敵の雑兵は、新兵衛の鎗先を避けた。味方がくずれ立ったとき、激浪の中に立つ巌のように敵勢をささえている猩々緋の姿は、どれほど味方にとってたのもしいものであったかわからなかった。また嵐のように敵陣に殺到するとき、その先頭に輝いている唐冠の兜は、敵にとってどれほどの脅威であるかわからなかった。


猩々緋の服折を着て、唐冠纓金の兜をかぶった中村新兵衛は戦場で無類の強さを発揮していました。まさに鬼に金棒です。

ですが主君の息子の初陣に際して、中村新兵衛は猩々緋の服折と唐冠纓金の兜を貸してしまいました。

そして普段とは違う黒皮縅おどしの冑を着て、南蛮鉄の兜をかぶり戦場に出たところ、いつものように簡単に敵をねじ伏せることはできずに悪戦苦闘し、しまいには敵に脾腹を突かれてしまったという結末です。


錯覚資産とは

ここで菊池寛の小説からは一旦離れて、錯覚資産について説明します。

錯覚資産とは『人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』
という本の中で著者であるふろむださんが定義した概念で、「人々が自分に対して持っている、自分に都合のいい思考の錯覚」
及び、それを引き起こす事実のことです。


ふろむださん本人の錯覚資産は、以下のようなもので

  • 起業した会社が、上場した。
  • ブログが数百万人に読まれた。
  • 著書『人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』がアマゾンで1位、オリコンでも1位(カテゴリ)のベストセラーになった。

ふろむださん曰く、上記の実績が人々に錯覚を引き起こすため、記事やツイートが、本来の実力からすると、とうていありえないほと多くの人に読んでもらえるそうです。

この錯覚を引き起こしているのは、ハロー効果と呼ばれるもので、ハロー効果は、多くの心理学実験で確認された認知バイアスの1つで、「1つのプラス属性に引っ張られて、他の属性を過大評価してしまう」という現象です。


中村新兵衛の錯覚資産

ここでまた菊池寛の「形」の話に戻ると、侍大将中村新兵衛の場合、錯覚資産は猩々緋の服折唐冠纓金の兜です。

中村新兵衛が槍の名手であることは事実ですが、鮮やかな猩々緋の服折ときらびやかな唐冠纓金の兜という錯覚資産を上手く活用したことで自分の実力を敵に過大評価させ、敵の戦意を喪失させ楽に敵を倒すことができていました。

この小説は読み方によっては、今までの成功は道具に頼っていたおかげで実際の実力はそれほどでもなかったとも読み取れますが、私はそうではなく、猩々緋や唐冠纓金という道具があったからこそ中村新兵衛はそれまで「槍中村」と諸国に知られるほど成功できていたのだと思います。

錯覚資産も含めて実力

日本では自分から実績や能力を誇示することは周囲に嫌われ、たとえ能力が高くても、慎ましく控えめに振る舞うことを美徳とする風潮があります。

ですが実際はこのような控えめな人は自分の錯覚資産をほとんど活かせないので、成功の機会を逃し続けます。

私も以前は自分の能力や実績をわざわざ開示することに抵抗感がありましたが、最近は成功への近道として必要不可欠ではないかと考えるようになりました。

この文章に関しても、プロフィールに単に情報系の大学生です。と書くよりも、月に3万PVほどアクセスがあるブログを運営していて、これまでグーグルアドセンスやアフィリエイトで30万円くらい収益を出しました。と書いた方が、例え同じ文章を書いていたとしても、読み手側に無意識のうちに、この人の文章は説得力があると錯覚させることができます。

もちろん「俺はできるだけ認知バイアスを取り除いて物事を見て、常にデータを判断材料にしているぜ」というような人もいるかと思いますが、かなり少数派です。

多くの人は、無意識のうちに錯覚資産の影響を受けて生活しています。

このような現状から考えると、成功するためには中村新兵衛の猩々緋のように自分をより強くする道具として錯覚資産を活用することがとても重要になってきます。


まぁ、自分をよく見せようとあからさまな嘘をつく人がいるのも問題なんですけどね・・・(゜_゜)


錯覚資産についてもっと詳しく知りたい方は以下からふろむださんの本を読んでみてください。著者のふろむださん本人が錯覚資産について書いたブログ記事のリンクも貼っておくので興味がある方は是非みてください。

人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている

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人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている - 第一章 - 分裂勘違い君劇場 by ふろむだ